NPO法人ちばMDエコネット佐倉・木ようの家

理事長 中邨淑子


(中邨)

木ようの家は、障害の無い人も含めて赤ん坊からお年寄りまで一緒に生き合えるようにしていこうとする「ゆるやかなNPO」で、障害のある人には社会参加を手伝います。
会報は「まあるい会」という名前で、義務教育を障害のある人と無い人が一緒に勉強して、ともに育ち、学ぶことを目指しています。
これで育った人がともに育つのが木曜の家です。
何が何でも普通学級に通うようにすると思われていますが、そうではありません。
今の教育は原則が分離になっていて、障害のあるこどもが地域の小学校に入りたいと思ったときに、就学指導委員会に決定権があって親が決めることができません。
保護者の考えを尊重と言っていますが、原則が分離となっているのでは限界があるのです。
情報の提供さえ受けることができないのです。
いじめがあった場合でも、障害のある子供の場合は「どうすれば解決できるか」という方向の話にはならず、「いじめも起こるから養護学校のほうがよいのでは」という話になる。
重障のこどもの母親が最初から「うちの子は無理ですから」と決めてしまっている。
どうすれば通えるかを考えた上で、どちらにするかを選択できるようにしたい。
地域の学校に通わせようとするときだけ支援が必要になるので、「何が何でも普通学級に入れる」運動と捉えられやすいのです。
学校を出てからは、地域の人とかかわって生きてゆきたい。
障害のある人だけが働く場はあるが、今あるそういう場ではなく、障害のある人も楽しく生きて行ける場を造って行きたいのでNPOにしました。
まちに力がないと、地域に力がないと、障害のある人はいきていけません。
人と人の顔が見える緩やかな地域、そういう地域で、まちで暮らしたい。
県との協働事業でノーマライゼーション相談事業をやっています。
同じ悩みを持つ人が、悩みを共有しながら相談を受ける事業です。
木曜の家は、子供たちが働く場とはしていません、地域に出て行き働くことを目指しているから。
「働いているのになぜお金がもらえないのか?」と言い出した子どもがいて、それもそうだということで、点字名刺を作る仕事を始め、裏のスペースでやるのですが、それには給料を払っています。
名刺の印刷は各自でやっていただいて、その名刺に点字を打つ仕事を一箱千円でやっています。
地域の学校へ行っているのは、地域の中に行き場がないからではないのですが、前に宮本さんが言われていたのはどんなお考えですか?

(宮本)

障害のある子どもが地域の学校に入ることについて、二つのことを考えています。
障害者は約400万人、そのうちMDが約100万人、さらにその中で重障が数十万人。
障害のある人が世の中にはいっぱいいるのに、家の中にじっとしている。
障害のある子が学校に行かなくても障害の無い子どもたちと日常的に触れ合うことができる場が、地域にあったほうが良いと考えているからです。
もうひとつは、全部とはいえないかもしれませんが、養護学校の先生が、子どもの持つ可能性を引き出してあげることに真剣に努力していると思うからです。映画「ひなたぼっこ」を見ても、高校の授業時間中はただ座っているだけになってしまっていますから、本人の可能性を引き出してあげるということを考えた場合、それが最善かということです。

(中邨)

障害のある子も無い子も、それぞれの個性が認められて生きていける社会になるといいですね。障害のある子に対して「自分で食べれたほうが良い」「自分で生活できれば良い」と価値を決め付けるのではなく、できない人がいるのなら手伝ってあげる、そういう社会になってほしい。
設樂(しがらき)というまちは、障害者が町に出て行っている。障害のある人が多く、車はゆっくり走っています。
焼き物の手伝いに子どもたちが行っていて、焼き物やさんが減ったので農業を手伝って一緒に畑仕事をしています。
その様子が古いのですけど「しがらきから吹いてくる風」という映画になっています。

(宮本)

この研究会が継続した場合の事業として、その映画の上映会をやりませんか。
(賛成!、・・・)

(中邨)

たしか「やさしい風の吹く町」というタイトルだったと思います。
昨年、高校を3人出て3人とも仕事につくことができました。
いろんなことがあって、相談は多々あります。でも、それを続けて行くことで理解が深まります。「トラブルはチャンス」だと思います。


【注:障害者数】
平成8年の調査では身体障害者は301万人、加齢に伴い増加する。
15〜64歳は126万人(全体の41.6%)、0〜14歳は6.5万人。
平成13年の調査では15〜64歳の身体障害者124.6万人、知的障害者26.4万人(身体障害者の21.2%)。

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